核抑止による「均衡」は平和ではない ~ 7/1 ネット鎌倉主催学習会

7月1日、「核廃絶ネゴシエーター」として、核に関わる調査報道と地域に根差したアドボカシーを行う団体(一般社団法人「かたわら」)を主宰する高橋悠太さんを講師に招いた学習会を開催しました。

高橋さんが用意した集会テーマは『私たちの社会は私たちの手で作っていこう 核なき世界を日本から』。

講師の高橋悠太さんは2000年生まれ

核兵器禁止条約「第1回締約国会議」へのオブザーバー参加を外務省担当者に迫った際や、G7広島サミットで街頭アピール活動を行った際の体験談などとともに、核兵器を保持する国同士は互いに核攻撃をしない(均衡が保たれる)という「核抑止」の考え方が虚構であることを平易な言葉で語ってくださいました。

核兵器禁止条約は核兵器の非人道性に世界が目を向けることを目指している

日本が参加しようとしない核兵器禁止条約(2021年1月発効)は、「核兵器の非人道性」を根拠に、核兵器の開発・製造・保有・使用を禁じる初めての国際条約です。

高橋さんは、被爆国である日本が核兵器禁止条約に参加しないことは ▽核兵器は大したことはないという誤ったメッセージを与え ▽核の被害者(核実験を含む)に対する国際的な援助を進みづらくする-と指摘。

また、今年3月に長崎大学核兵器廃絶研究センターが発表した、北東アジアで核兵器が使用された場合にどのような被害が出るかのシミュレーション結果の紹介もありました。
5つの想定使用ケースについて、爆風や熱線、放射線の影響などによって亡くなる人の数の推計が示されたものです。

中でも、核爆発により引き起こされる「火災旋風」による被害については、あまりに悲惨であるため、これまでの調査研究等では覆い隠されてきました。しかし、核兵器の非人道性に最大の関心を払う核兵器禁止条約を各国が批准する流れの中で、火災旋風の恐ろしさからも目をそむけない動きが出てきているそうです。
その意味で、日本が経験したことをいかに普遍化して捉えるかが問われていると強調されていました。

核兵器の使用が世界を覆う気候危機を引き起こすことについても、近年の研究にもとづくお話がありました。

↑表は、「北東アジアにおける核兵器使用の人道的影響」日本語版要旨からの抜粋
(核兵器が万が一使われてしまったらどのような影響が出るのか、という問いに答えることで、核抑止論のもつ潜在的リスクを明らかにし、二度と核兵器が使われないよう具体的施策への提言につなげることを目的に据えた国際共同研究)

今回の学習会には、中学生や赤ちゃんを連れた若いお母さんを含む多世代の参加がありました。
高橋さんのお話を受けて活発な質問や発言があり、双方向で議論を深めることができました。

司会の井上みかこ市議