「いのちの林檎」上映会を振り返って

 神奈川ネットと、電磁波を考える会、福祉クラブとの協働企画で行なった上映会には、鎌倉だけでなく、首都圏、遠くは関西・四国からも観覧者が訪れ、きらら鎌倉のホールは満席となり、当日券の発行を停止するほどでした。

映画の内容
 転勤のたびに新築の家屋に移り住んだことによるシックハウスと、近隣のゴルフ場が散布する農薬により化学物質過敏症を発症した親子が、安全に生きられる場所(=息を吸える場所)を求めた壮絶なドキュメンタリーと、水さえも飲めなくなった主人公の命を永らえさせてくれた完全無農薬、肥料を使わない林檎を命を賭して育てた林檎農家の話を絡めた、命を紡ぐストーリーです。

 主人公 早苗さんは、自分の吐く息でさえ症状を発症してしまうほどの重症の化学物質過敏症。家の外からのかすかな煙草の煙、はるか上空を飛来する航空機からの低周波にも反応し、自分で食べるものは、無農薬の大豆から自分で作る味噌、身にまとうものは全てオーガニックのもの。しかし、23歳までは普通の生活が出来ていました。

投げかけられた課題

 人によって薬物や化学物質に対する許容量が違い、原因、症状などが多様です。化学物質過敏症をなかなか理解してもらえない、また、診断のできる医療機関が少ないことが課題です。2009年より厚生労働省は、カルテやレセプトに記載できる病名として化学物質過敏症を登録しており、労災認定を受けた事例もあります。しかし、まだ完全に解明されているわけではありません。

 上映に際しては、遠方から、また化学物質過敏症と診断された方の参加もありました。化学物質の身体に対する影響はまだ未知の部分があります。特に子どもに対しては、大人より多くの影響が懸念されてます。研究、情報が不足していることや、理解が得られていない中、子どもに対しては、ガイドラインを設ける必要があります。ネット鎌倉としてもガイドライン策定に向けて提言をしていきます。