■後期高齢者医療制度の導入の背景と目的
現在、国の総医療費は32兆円、その内老人医療費が11兆円を占めています。高齢者の1人当たり医療費は85万円/年と、国民一人当たり平均の26万円を大幅に上回っています。
少子高齢化が進行する中で、「後期高齢者医療制度」は、現役世代と高齢者世代の負担を明確にし、それぞれの負担能力に応じて、高齢者の医療費を安定的に支えていく制度として創設されました。
■県域事情に合わせた制度となりうるか
国の制度ですが、保険者である県によって事情が異なり、政府の説明は多くの鎌倉市民の実感とかけ離れています。
約12分の4とされている国の助成額が、 神奈川県は富裕県とされ、実際は12分の3.6。削られた12分の0.4は額にすると160億円です。 その分は保険料に上乗せされて、他県より約2万円高くなっているのです。制度の中で交付税的な調整をするのは、「高齢者世代の負担を明確にする」という制度導入の目的に反しています。
鎌倉市は、国保の納入率の高さを誇ってきました。これは、長年の職員の努力と市民の協力のおかげです。未払いの人が少なければ当然、必要以上の保険料を払わずに済むのです。具体的は、保険料の所得割りの率が鎌倉では低く抑えられてきました。後期高齢者医療制度で保険料の所得割が下がる市町村もあるようですが、鎌倉市の場合は上がります。
国保行政でこれまで努力してきた市町村が報われない制度であり、地方分権に逆行しています。
後期高齢者医療制度は個人単位です。
夫や子どもの扶養家族として医療保険に入っていた方は、今まで全く負担していなかったので、2年間の減額措置はあるものの、まるまる負担が増えます。
国保の世帯主義は続ける一方で、後期高齢者医療制度のみ個人
単位とするのは、保険制度全体の整合性に欠けます。
以上、鎌倉市民はダブルパンチ、トリプルパンチを受けてたのですから、負担感は大きいはずです。
超高齢社会を迎えて、高齢者医療の実態をコストの面も明らかにすることは重要ですが、高齢になれば医者にかかることが増えるのは当然のことです。高齢者の医療費削減のために必要なのは、実態にあった在宅医療と介護を充実させ、自宅で安心して療養でき、終末期をも迎えられる仕組みだと考えます。