横須賀ピース・フェスティバルで平和を考える
10月22日、爽やかな秋晴れの中、4年ぶりに制限のないピースフェスティバルが横須賀市三笠公園で開催されました。会場は特設ステージと観覧席エリア、展示エリア、(労組、市民団体等による)模擬店に囲まれたオープンカフェの3エリアにわかれ、各エリアにおいて軍港のまち横須賀の現状を知り、平和について考える時間を大勢の市民と共有しました。
今回のピースフェスティバルでは、詳しい解説付きの軍港巡りが企画されていました。クルーズ船はほぼ満員で市民の関心の高さの表れです。「高校生平和大使」の女子高校生2人も参加していました。
出港してすぐ左手にはアメリカ海軍基地施設が広がっています。軍司令部や艦船の母港機能だけでなく、学校、病院、高層マンションほか居住施設など米軍の生活する街でもあります。そこの一角に問題の排水処理場がありました。ここは2022年に、人体に有毒な有機フッ素化合物が環境省の暫定目標値50ng/Lの171倍も排水として海に垂れ流しされた場所です。(在日米軍司令部が横須賀市長に、生活排水ラインの入り口でも暫定目標値の222倍が検出されたと伝えていました)
当時横須賀市は排水停止を要求しましたが、基地内の水使用停止や排水貯蔵施設の整備の必要があるため、また原因特定できないと、基地内排水の垂れ流しが継続していました。その後、米軍が新たに設置した有機フッ素化合物除去のための排水浄化設備-赤色と青色のタンクのような施設-を船上から見ることができました。しかし、米海軍は「原因特定は困難」だとし、調査結果は「今後は公表しない」と横須賀市長に報告。日米環境補足協定があるものの、施設内の水の採集、土の採集はさせてもらえないなど結局のところ日米地位協定が大きな壁となっており、環境汚染への懸念は続いています。
クルーズ中盤からは港湾に入り込んで行きました。原子力空母ドナルド・レーガンは出港中で見ることはできませんでしたが、海上自衛隊のイージス艦、潜水艦は停泊していました。また新設されたミサイル防衛専用弾薬庫、海上自衛隊専用の桟橋、米軍弾薬庫に固定桟橋の計画地など、拡大される米軍基地や自衛隊施設を目の当たりにしました。
特設ステージでのリレートークの中で、平和運動を続けていく中で諦めに近い声も聞かれると言う話もありましたが、「微力だけど無力じゃない」を掲げて署名活動を続ける「高校生平和大使」など若い力も育っています。私たち市民が平和を作っていくことを諦めてはいけないと痛感したピースフェスティバルでした。 (H.S.)