介護保険、重度化を防ぐ制度に

介護保険の制度当初から利用抑制を懸念してケアプランの作成は無料としてきました。介護保険の次期改定に向けて、そのケアプランの有料化など利用者負担増、要介護1・2の地域支援事業への移行等の議論が進んでいます。介護の現状と次期改定による懸念等について、介護現場の最前線で活動するケアマネ事務所管理者の渡辺さんにお越しいただき、お話を伺いました。

渡辺さんの話では、要介護3以上の場合はプランが大きく動くことが少なく、かえって要介護2までの場合のほうが、病気や転倒による骨折で入退院があったり、認知症状の変化等で状態が変わることが多いため、プランが変わる可能性は高いとのことです。ケアマネは月1度訪問し、状態を見てプランを確認しています。介護度によってプラン作成費は異なりますが、要介護になれば1回1万5000円程度の費用がかかっています。ケアプラン作成費が有料になれば、その分ほかのサービスを削ることになり、利用者にとって不利益な状況になります。さらに、これまでは原則1割の利用負担でしたが、2割に引き上げることになれば月々の負担は倍増します。鎌倉市の場合、1割負担は78.5%で(2割負担が10.1%、3割負担が11.4%)、利用抑制による介護の重度化を引き起こさないか懸念されます。

ケアマネが状態をきちんと見て、地域の中にあるサービスを把握し、本人と家族に合わせたプランを立てることが必要です。特に認知症の初期段階において、専門知識を持ったサービスを提供することによって状態の悪化を防ぎます。

国は介護報酬を上げず、要介護2までを市町村が責任を持って行う地域支援事業によって、ボランティア的な低単価のサービスを進めています。しかし、報酬が低い事業の担い手がいるとは考えにくく、地域のボランティアが責任をもって担えるものではありません。要介護2までの人は認定者の6割を超えています。重度化させないことが本人にも家族にとっても重要であり、介護保険の給付自体を抑えることにつながると考えます。