2023年を振り返って

新型コロナウイルス感染症の5類移行後、人の往来が回復し、海外からの観光客も増加しています。アフターコロナの経済戦略が進み賑わいが戻る一方、世界では紛争が後を絶たず、世界各地の紛争や迫害などによって住まいを追われた人は、およそ1億1000万人に上ると、UNHCR=国連難民高等弁務官事務所が明らかにしました。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻、パレスチナ自治区ガザ地区のイスラエルとパレスチナの戦闘により、子どもたちはじめ多くの命が奪われる等、人道状況の悪化が懸念されます。

日本政府は、12月22日「防衛装備移転三原則」の運用指針を改正しました。これまで、外国企業から技術を導入し国内で製造する「ライセンス生産」の防衛装備品について、アメリカに対し部品のみ認めていましたが、今後は完成品も含めてライセンス元の国への輸出が可能になります。具体的には、「F15戦闘機」「CH47輸送ヘリコプター」地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」などがあり、さっそく「PAC3」をアメリカに輸出することを決めました。防衛省が把握しているライセンス元の国はアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ベルギー、スウェーデン、ノルウェーの8か国。私たちは、日本で製造した武器が世界の戦争に向かっていくことになるということを知らなければなりません。

また、気候変動によって住む場所を追われる「気候難民」が急増しています。世界銀行は、2050年までに2億1600万人が移住を迫られると推計し、世界が不安定化するとの指摘もあります。12月にドバイで開催された気候変動対策の国連の会議COP28では、2050年までにネット・ゼロ(温暖化ガス排出実質ゼロ)を達成するために、化石燃料について「脱却を進める」ことで合意したものの、日本など約20の有志国が、世界の原発の発電能力を2050年までに3倍に増やすとの宣言を打ち出し、世界各国の環境団体から反発を受けています。原発を安易に進めることは環境的にも人道的にも大きな問題があります。再生可能エネルギー・省エネルギーの拡大に英知と技術を結集すべきことは言うまでもないことです。

地球規模の課題が迫っている中、国政では政治と金の問題が延々と取りざたされ、あまりに情けない事態です。企業からの寄付を派閥の懐に入れ、議員個人に回す還流の仕組みは明らかで、透明性を持たせる改革を急ぐべきです。当たり前のことがなぜできないのでしょうか。お手盛りではなく厳しい自己規律のもとに法の整備をしてほしいものです。

鎌倉市では、市役所移転、ごみ処理施策、学校はじめ公共施設の再編等、課題が満載ですが、先送りや他所任せで、決められない政治が続いています。何が市民にとって幸せなのか、市民が平穏に日常が送れるよう、常に暮らしの現場から政治に向き合うことの大切さを実感した2023年でした。
(三宅真里)

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