学習会「測って知る 身の回りの電磁波」を開催しました

携帯電話会社は「携帯電話中継基地局の発する電波は、国の電波防護指針の範囲内だから安全性に問題ない」と説明しますが、基地局の電波のような「熱作用を伴わない微弱な電波」を長時間浴びることの身体への影響が解明されているとは言えません。
5Gの通信エリア拡大で基地局の設置が加速化していることを背景に設置計画地の住民からの相談があいついだこともあり、神奈川ネットワーク運動・鎌倉では、今年度、簡易測定器を用いて基地局周辺の屋外・屋内の無線周波数電波の電力密度を測定するチームを立ち上げました。
今回の学習会では、市内9地域で測定した結果を報告し、NPO法人 市民科学研究室の上田昌文さんから講評・解説をいただきました。

(11月14日 鎌倉商工会議所301号室で開催。40名近い参加者を集めて盛況でした)

測定からわかった傾向
各地の路上において、計測した電波の最大平均値が1.0μW/㎠を超えた地点は多くなかったですが、限定的ではあっても、数μW/㎠以上を超える地点が生じていることが確認されました。今回の測定で最も高かったのは大船の鎌倉街道沿いの地点で、最大平均値7.48μW/㎠、ピーク値19.0μW/㎠でした。
傾向として確認されたのは、最大平均値が1.0μW/㎠を超える地点は、坂道(斜面)の途中などに位置し、下方に立つ基地局のアンテナと同等の高度である(同じ水平面にある)場合が多い、ということです。

予防原則に基づく目安が必要
上田さんからは、「電磁波過敏症を発症させないための曝露基準は現時点では見出されていないが、一つの目安として、イタリアで採用されている『注意値、品質目標』としての10μW/㎠は検討に値する。」とのコメントをいただきました。今後、「基地局の電波の及ぶ範囲に10μW/㎠を超える箇所が生じる可能性がある時は、携帯電話会社が対策を講じる必要性がある」という認識を事業者・国・住民が共有するよう、国に求めていく所存です。

基地局に向き合うのは自治の問題
学習会の後半では、鎌倉市の携帯基地局条例について取上げました。「住民が知らないうちに近所に基地局が立ってしまった」ということがないようにする条例として実効力を持たせるには、条例に基づく住民説明会の開催が容易になるよう、条例施行規則を改正したり、説明会開催要綱をつくったりする必要がありそうです。
上田さんからは、「大事なのは情報公開。基地局は、住民にとっては自治の問題だ」というコメントもいただきました。私たちも現状をよく把握しなければ議論ができませんから、今後とも電波の測定を行い、また取り組む仲間を増やしていきたいと思います。

詳しい報告記事は、保坂れい子のホームページをご覧ください。