国葬の意義を問う

 イギリスのエリザベス女王が亡くなりました。在位70年とのことです。イギリス国民の多くがエリザベス女王が君主である時代しか知らず、世界のどの国においても、メディア露出の多いイギリスの顔として喪失感は大きいと感じます。それはもちろん在位期間の長さだけではなく、戦後旧植民地の民主化や王室の近代化に向け彼女が行ってきた数々の模索や変革に対する評価であり、王室外交を通じて世界平和や環境問題に積極的に関わってきたトップリーダーとしての資質に対してであると思います。新たな国王の下で王室存続の危機もささやかれていますが、それはかの国民の判断に任せるとして、今念頭にあるのは、「国葬」についてです。

 エリザベス女王の国葬に異議を唱える国民はまずいないでしょう。それだけ国民に敬愛され、最期まで意志強く国民に寄り添ってきた方だからです。また国家元首として法的にも国葬を行うことに疑問はありません。

 振り返って我が国が今月27日に行おうとしている安倍元首相の国葬に関しては、世論調査で半数近くの国民だけでなく、市民団体、法曹界、宗教関係者、著名人の呼びかけなどで反対が声高に発せられ続けています。実行する法的根拠がない、法の下の平等等を定めた憲法に反する、安倍氏の政治的業績、道義的責任に対して評価できないなど明確な反対理由に加え、自分に反対する国民を敵視するなど、安倍氏が国民の支持を集めていないことが大きな理由だと考えます。

 大多数の国民に心から哀悼の意を表してもらうものだからこそ、国葬の意義があるのであり、9月27日に予定されているものは、国葬として無意味なものではないでしょうか。名ばかりなものに、多額の税金をつぎ込む岸田政権のやり方への批判は今後も続くものと考えます。(H.O.)

 

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