5G(第5世代移動通信システム)への懸念

NPO 法人市民科学研究室の上田昌文さんに、5Gのリスクについて話を伺いました。

5Gの特徴は、超高速化(4Gの10 倍の速度)、多数同時接続(4Gの30 ~40 倍の台数、100 個の機械を同時に操作できる)、タイムラグ1ミリ秒です。監視カメラの精度が上がる、建設現場で機械の遠隔操作、トラックの無人運転など、主に産業分野での活用が期待されていますが、一般家庭での通信に必要な技術とは思えません。

電磁波は周波数が高いほど届く距離が短くなり、周囲の建物など障害物の影響も受けます。5Gを普及させるためには、アンテナ基地局を20~150 mごとに設置しなければなりません。一斉に膨大な数の5G基地局を新規設置することはできないので、まずは既設の3Gや4Gの基地局が利用されます。小型の「スモールセル基地局」が、マンホールの下、窓、信号機などに知らないうちに取り付けられていることもあるそうです。近い距離で電磁波を浴びる近接曝露や、弱い電磁波を長く浴び続ける微弱長期恒常的曝露による疾病発症のメカニズムは、まだ解明されていません。最近は、学校でもタブレットが使用されるようになり、子ども達への身体に及ぼす健康被害が懸念されます。

国内にはそれぞれの帯域の基地局があり、今でも全部で90万基に及んでいるそうです。5Gではもっと基地局密度は高くなります。鎌倉市には「携帯電話等中継基地局条例」があり、事業者に計画地と隣接する住民等への計画の周知と住民合意の上での事業遂行を求めています。5Gの小型基地局についても、知らない間に設置されることがないように、条例が適用されるべきです。私達の生活に5Gが本当に必要なのか、5Gがどのようにして私達の周りに存在することになるのか注目していく必要があります。(深尾)