日本では、遺伝子組換え実験施設規制法は制定されておらず、神奈川県でも指針での対応です。鎌倉市には4件の遺伝子組換え実験施設がありますが、その実態はネット鎌倉が昨年7月に情報公開請求をするまで、市は全く把握していませんでした。
研究の必要性は認めるものの、それに伴う周辺環境の安全は確保されなければなりません。市民の健康と生活を保障するために、事業者と市・市民が理解しあえる仕組みが必要と考えます。
昨年9月市議会において武田薬品工業(株)新研究所計画についての陳情が採択され、これを受け市も10月には、住民の安全・安心確保への最大限の配慮と、住民の不安解消のために事業内容やバイオ災害対策等の充分な説明、住民とのコミュニケーションの充実を武田薬品に要請してきました。
しかし、充分な説明が無いまま、12月には藤沢市と鎌倉市にまたがる計画地では建設に向けて工事が開始されました。その際も、殆どの住民の了解がないまま工事協定が締結されるなど、不誠実な対応が続いています。今年に入り、市の環境安全協定の締結の要請については今後協議するとの回答がありましたが、住民との締結は拒んでいます。
昨年10月、鎌倉市議会から神奈川県に対し、県の指針を条例化して、法的に義務付けることで安全性を確保するよう意見書を出しましたが、県は条例化に対し消極的姿勢です。また、鎌倉市も当面は条例の制定を考えていないことが議会でも明らかになりました。そこで、住民への説明や環境安全の確保のためには、議会の立法機能を発揮し、条例を議員がつくる必要があると考え、提案します。
条例の議員提案に対してパブリックコメントの必要性は定められていませんが、市民の生活に密着する条例制定にあたっては、広く市民の皆さまのご意見を伺いたいと考え、「鎌倉市遺伝子組換え実験施設に係る環境安全を確保する条例(案)」に対する意見を募集します。
ご意見は2月8日(日)までに下記へお寄せください。
ネット鎌倉 E-mail kamakuranet@live.jp TEL/FAX 0467-42-8636
概要
この条例の制定により、実施される手続きについて、その流れを大まかに下記しました。市民・市・事業者が風通しを良くして、遺伝子組換え実験施設の安全確保に向けて努力をします。
①事業者には、遺伝子組換え実験及び実験施設の運営について、市への報告、協定締結が義務付けられます。また、環境安全委員会の立ち入り検査に応じます。事故の際も速やかな報告を市と近隣住民に行ないます。
②市民の要望に応じ、事業者は説明及び協定締結を行ないます。
③市は、事業者と安全計画の策定を協議し、記録の保管や報告の受理等遺伝子組換え施設の運営を見守り、事業者と協定を締結して市民の安全を確保します。
④市は、「遺伝子組換え実験施設に係る環境安全委員会」を設置し、報告・検査等の実施状況を把握し、違反があった場合は勧告・公表します。
市民 事 業 者 市
環境安全計画・
自主管理マニュアル作成
環境安全計画の協議-——————→環境安全計画の協議
環境安全計画・変更の届出————→記録の保管
説明会の要望—→説明会の実施———-報告—→
協定締結要望—→協定締結←————————→協定締結
←—事故報告—————————→
立ち入り検査←————————環境安全委員会
報告・検査の要望
←———————————勧告・公表