神奈川ネット鎌倉 2023年の抱負

昨年2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まり、未だ解決の兆しは見えていません。戦争に勝敗がついたとしても、亡くなった命が戻るわけではありません。本当の勝利者は戦争を始めない人々です。

この戦争は各方面に影響を及ぼしました。経済制裁や輸出停止で市場は混乱し、世界フードショックを引き起こしました。輸入を基本としてきた日本の食糧事情は崩れ、自給率100%の米でさえ物流・肥料のコスト高の影響を受けています。食の安全保障を見据え、38%で低迷している食料自給率を引き上げ、国内で安定供給できる体制を追求することが必要です。
また、ウクライナ危機に便乗して、政府は電力の安定供給と脱炭素化を理由に、原発回帰へとエネルギー政策を急転換しました。福島原発事故を教訓として脱原発依存を掲げてきましたが、既存炉の運転期間の延長と、廃炉後の「次世代革新炉」への建て替えと言葉を変えて新設を推進する方針です。テロ対策や避難計画の不備を地裁に指摘されている原発もあり、安全性に加え、福島原発の廃炉問題や使用済み核燃料の最終処分という重い課題も積み残したまま、わずか4か月の議論での決定は看過できません。
軍事面では、ロシアのウクライナ侵攻や中国の軍拡、北朝鮮のミサイル発射等で揺らぐ国民の不安に乗じ、安保関連3文書を改訂し、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を明記することを12月16日に閣議決定しました。相手国が攻撃に着手した時点でミサイル発射基地などをたたくことがきるというもので、これはもはや専守防衛ではなく憲法9条の解釈から逸脱しています。すでに米国からの巡航ミサイル購入に多額な予算を充てるなど防衛費増強は具体化し、財源を増税や復興特別所得税の転用・建設国債の適用などで賄う算段で、将来に禍根を残すことは明白です。軍拡により抑止力が高まるというのは妄想で、軍拡競争により危機はますます高まると考えるのが現実的です。
エネルギー政策も安全保障政策も国の根幹にかかわる重要な政策であり、説明や熟議が必要ですが、なし崩し的に進められ民主主義のプロセスを踏んでいないことが大きな問題です。この流れで憲法改定に踏み込む懸念があり、2023年はこれまで以上に、自分たちが住む地域から国政への牽制力を強めていく必要があります。

鎌倉市政の2022年は、前年末から続いた生涯学習センターの管理運営問題で紛糾したことで始まり、市庁舎の移転整備について議会の同意が得られないことで終わった1年でした。根底にあるのは、現市長の市政運営が市民から十分な信頼を得られていないことです。市庁舎移転の議決については、広い視野に立って「住民の福祉の増進」に向けた判断をすることができない議会の姿勢も問われています。市長も議会も市民の信頼を得るための努力を惜しむことなく重ねるべきです。

未来は今の選択の先にあります。神奈川ネットワーク運動・鎌倉は、日々の生活から見えてくる課題から市政を捉え、地域の市民社会を豊かにする動きを通して、危機的な岐路に立つ国政を牽制することで未来への責任を果たしていきます。  (神奈川ネットワーク運動・鎌倉代表 三宅真里)